腰痛からの復帰

腰痛からの復帰

Recovery from Back Pain

Research Note

「ストレスで腰が痛くなる」は本当か?

「腰痛の原因はストレスですね」 病院でそう言われて、腑に落ちなかった経験はありませんか? 「確かに仕事は忙しいけど、腰が痛いのは身体の問題であって、心の問題ではないはずだ」と反発したくなる気持ち、とてもよく分かります。 しかし、ストレスと腰の痛みは、オカルトでも気のせいでもなく、神経科学的に深く繋がっているのです。

なぜ起きるのか

【研究】 脳科学の研究において、痛みを感じるシステムと、ストレスを感じるシステムは、脳内で同じ経路を多く共有していることが分かっています。 特に注目されているのが、脳の「報酬系(ドーパミンなど)」の働きです。強いストレスに長期間さらされると、この報酬系の働きが低下し、脳が持っている「痛みを抑え込む機能(下行性疼痛抑制系)」がうまく働かなくなります。 つまり、ストレス自体が「腰の組織を直接壊す」のではなく、ストレスによって「脳の痛みブロック機能が低下し、本来なら感じないはずの微細な刺激を『激痛』として感じてしまう」のです。

僕の仮説・現場感

【僕の仮説】 現場でセッションをしていると、身体の使い方はそれほど悪くないのに、なぜか痛みが引かない方がいらっしゃいます。 そういう方とお話ししていると、「仕事の責任が重くなった」「人間関係で悩んでいる」といった背景が見えてくることがよくあります。 僕にとって、身体は「心の状態を映し出すモニター」のようなものです。交感神経(緊張のスイッチ)が入りっぱなしになると、無意識に呼吸が浅くなり、首や背中の筋肉が硬直します。その全身の力みが、最終的に一番負担のかかりやすい「腰」に集約されて悲鳴を上げているのかもしれません。

今日試せること

ストレスをゼロにすることは不可能ですが、「緊張のスイッチ」を一時的にオフにすることは可能です。

□ 呼吸(ため息) 「ふぅーっ」と、ため息をつくように長く息を吐き出してみてください。ため息は、自律神経をリラックスさせるための身体の自然な防衛反応です。

□ 意識 「今の自分の腰痛には、ストレスも関係しているかもしれない」と、ただ認めてみること。それだけで、腰の患部だけに向いていた過剰な意識が少し分散されます。

□ 動作 好きな音楽を聴きながら散歩する、お風呂にゆっくり浸かるなど、腰のこととは関係のない「自分が心地よいと感じる時間」を5分でも作ってみましょう。

まとめ

腰痛は身体の損傷だけでなく、私たちの置かれている環境や心理状態とも複雑に絡み合っています。 だからこそ、「ストレスのせいだ」と言われても、自分を責めたり、治らないと絶望しすぎなくてもいいと思っています。 身体のケアと同時に、少しだけ「心と脳を休ませる」というアプローチも探究してみる価値はあるかもしれません。