強いマッサージで腰がさらに硬くなる理由
「腰が凝っているから、もっと強く揉んでください!」 マッサージ店で、セラピストにお願いした経験はありませんか? その時は「痛気持ちいい」と感じてスッキリするのに、翌日には「揉み返し」でさらに背中がガチガチになってしまう。 「私のコリが頑固すぎるからだ」と思うかもしれませんが、実はその「強いマッサージ」自体が、身体を硬くする原因になっている可能性があります。
なぜ起きるのか
【研究】 人間の筋肉には「伸張反射」という防衛システムが備わっています。 筋肉が急激に引き伸ばされたり、外部から強すぎる圧迫(強い指圧など)を受けたりすると、筋肉のセンサー(筋紡錘)が「このままでは筋肉が壊される!」と脳に危険信号を送ります。 すると脳は、筋肉を破壊から守るために「ギュッと縮んで硬くなれ!」という命令を出します。これが伸張反射です。 強い力でマッサージをすればするほど、筋肉は防御のために鎧を着てしまい、結果として筋繊維を傷つけ、翌日の「揉み返し(微細な筋損傷による炎症)」を引き起こしてしまうのです。
僕の仮説・現場感
【僕の仮説】 現場で身体を触らせていただく時、僕は絶対に「痛い」と言われる強さでは押しません。 お客様の呼吸が止まるほどの強さで押してしまうと、その瞬間に筋肉が反発して押し返してくるのが手を通して伝わってきます。 僕にとって、硬くなった筋肉を緩めるのは「力ずくでドアをこじ開ける」ことではなく、「身体に『ここは安全だから鍵を開けていいよ』と安心させる」ことです。 「痛い方が効いている気がする」というのは心理的な思い込みであり、生理学的には優しく触れ、優しく揺らす方が、脳は安心し、結果として筋肉は奥深くからフワッと緩んでくれます。
今日試せること
「強刺激=効果がある」という思い込みを手放し、身体に優しくアプローチしてみませんか。
□ 意識 マッサージやストレッチを受ける時(自分で行う時も)、「痛気持ちいい」の「痛い」に少しでも寄っていたら、それはやりすぎのサインです。「心地よい」範囲にとどめましょう。
□ 呼吸 人に触れられている時やストレッチをしている時に、自然な呼吸が続けられているかを確認してください。息が「ウッ」と止まる強さは、身体が防御反応を起こしている証拠です。
□ 動作 硬い場所をゴリゴリと揉む代わりに、その場所を手のひらで優しく包み込み、ゆっくりと深呼吸をしながら体温を伝えてみてください。それだけでも筋膜は十分に緩みます。
まとめ
私たちの身体は、私たちが思っている以上に賢く、常に自分自身を守ろうとしています。 だからこそ、硬い筋肉を「敵」と見なして力ずくでねじ伏せようとしなくてもいいと思っています。 なぜ身体がそこを固めて守ろうとしているのか?その理由に寄り添い、安心感を与えてあげる探究を始めてみましょう。