「歳だから仕方ない」という言葉の罠
「先生、私の腰痛はもう歳だから仕方ないんですよね?」 これは、ある年齢を過ぎたお客様から本当によく聞かれる言葉です。 病院でレントゲンを撮り、「骨と骨の間(椎間板)が狭くなっていますね、加齢によるものです」と言われれば、誰だってそう思ってしまうでしょう。 老化という逆らえない現実の前に、私たちはただ痛みに耐えるしかないのでしょうか。
なぜ起きるのか
【研究】 確かに、年齢を重ねるにつれて椎間板の水分が減少し、骨に変形が生じる(退行変性)のは、誰にでも起こる自然な現象です。それは顔にシワができるのと同じくらい当たり前のことです。 しかし、最新の痛みの研究では、「加齢による背骨の変形」と「痛みの強さ」は比例しないことが明確に示されています。 80代で背骨が大きく変形していても全く腰痛がない人がいる一方で、20代で背骨が綺麗な状態でも激しい腰痛に悩む人がいます。 つまり、画像上の「加齢の変化」は痛みの「原因の一部」ではあっても、「すべて」ではないということです。「歳だから痛い」という説明は、科学的には不十分なのです。
僕の仮説・現場感
【僕の仮説】 現場で様々な年代の方の身体を拝見していると、年齢以上に「これまでの身体の使い方の歴史(蓄積)」が痛みを作っていると感じます。 「歳だから」と言って動くことをやめてしまえば、筋肉は落ち、関節の潤滑油は出なくなり、本当に身体は錆びついて痛くなります。 僕にとって、加齢は「免罪符」ではありません。確かに20代の頃のような無茶は効かなくなりますが、年齢に合わせた適切な刺激を与えれば、人間の身体は80歳になっても90歳になっても、筋肉を成長させ、痛みのない動きを取り戻すことができる強さを持っています。 「歳だから」と諦めてしまうこと(心理的な要因)こそが、最も身体を老け込ませる原因ではないでしょうか。
今日試せること
年齢を言い訳にするのを少しだけやめて、今の自分の身体にできることを探してみませんか。
□ 意識 「歳だから治らない」という言葉を、今日から使わないようにしてみましょう。言葉は自己暗示となり、脳の回復システムにブレーキをかけてしまいます。
□ 動作(心地よい運動) 激しい筋トレは必要ありません。ラジオ体操、少し長めの散歩、あるいはお風呂上がりの軽いストレッチなど、今の自分が「気持ちいい」と思える動きを1つだけ日常に取り入れてみてください。
□ 意識 「昔はこんなに動けたのに」と過去の自分と比べるのではなく、「昨日の自分より、今日は少し股関節が動くようになった」と、小さな変化を喜ぶ視点を持ってみましょう。
まとめ
加齢は誰にでも平等に訪れる現象ですが、それをどう受け止めるかで、身体の未来は大きく変わります。 だからこそ、「もう治らない」と自分で限界を決めすぎなくてもいいと思っています。 身体はいつからでも、正しく扱えば応えてくれます。自分の身体の可能性を信じて、これからの新しい付き合い方を探究してみましょう。